17時52分。会議資料を送ったトークのいちばん下で、部長の「ありがとう」に返事をしないまま、画面を開いています。

返す?ここで終わる?

うさぎがカメ

『とんでもないです』って返したら、また『ありがとう』が来るかも……そしたら、もう1回返すのかな……

迷ったときに見るのは、上司のひとことそのものではありません。その前のやりとりに、まだ答えていない用件が残っているかです。

ここでは、上司から届く「ありがとう」「よろしく」「了解」「お疲れさま」に、返すかどうかの決め方と、返すときの1通、言い合いの終わらせ方を順に見ていきます。

自分から送る報告や依頼の例文は、上司へのLINE返信 例文72本にまとめています。

返すか迷ったら、ひとことの前を読み返す

同じ「よろしく」でも、初めて仕事を頼まれた直後なら返事が要ります。自分が「15時までに直します」と伝えたあとなら、もう返さなくても話は終わっています。

短い言葉だから返さなくていい、上司だから必ず返す、という決め方ではどちらも外れます。上のトークを1画面ぶん読み返して、次の順に確かめてください。

上司のひとこと、返す?ここで終える?

上司からの質問や確認で、まだ答えていないものがある?

「明日の件どうなった?」「資料って今日中?」など

返す

まず用件に答える

ひとことへの返事より先に、残っている質問に答えます。答えれば、ひとことへの返事も兼ねられます。

そのひとことに、新しい依頼・期限・変更が入っている?

「よろしく。木曜までで」「了解、宛先に課長も入れて」など

返す

引き受けたことを返す

新しい依頼には、受けたこと・いつまでにやるかを1通で返します。

「よろしく」への返し方を見る →

会話の最初の「お疲れさま」や、退勤前の「今日はお疲れさま」?

返す

あいさつを1行で返す

始まりの「お疲れさま」には同じあいさつを返して用件を待ち、1日の締めには「お疲れさまでした」を返します。

場面ごとの返し方を見る →

届いたのは「ありがとう」で、あなたはまだ一度もお礼に応えていない?

ひとことで返す

お礼を1回だけ受け取る

上司からのお礼には、一度だけ短く応えます。これで話は終わりです。

「ありがとう」への返し方を見る →

返さない

ここで終えてOK

用件は片付いていて、お礼にも一度応えています。既読がついていれば、それが受け取った合図になります。

終わらせ方を見る →

上司から「ありがとう」が届いたら、1回だけ受け取る

資料を送った、急な対応を代わった、頼まれた調べものを返した。そのあとに届く「ありがとう」は、仕事が受け取られたという合図です。

返すなら1回、短くです。上司のお礼がひとことなら、返事も1行で釣り合います。

◎ 迷ったらこれ=1本目

お役に立ててよかったです。
とんでもないです。間に合ってよかったです。
無事に終わってほっとしました。ありがとうございます。
恐縮です。お役に立てたならうれしいです。

2本目は、急ぎの対応を代わったときに向いています。資料を1本送っただけなら、1本目で足ります。

どれも、新しい話を足していない点が共通です。「また何かあれば」「明日もよろしくお願いします」を添えると、上司はそれにまた返したくなります。

「こちらこそ」は、本当に感謝することがあるときだけ

「こちらこそありがとうございます」は便利ですが、何に感謝しているのかが空っぽだと、返事が上司の言葉の写しになります。

使うのは、上司にも何かしてもらっていたときです。確認を急いでもらった、判断をすぐ出してもらった、などです。

こちらこそ、会議前に確認していただきありがとうございました。

2回目の「ありがとう」には返さない

一度応えたあとにまた「ありがとう」「助かった」が届いたら、そこで終えて大丈夫です。2回目のお礼は、たいてい会話を閉じる合図です。

「よろしく」「了解」「お疲れさま」は、会話のどこで来たかで決まる

この3つは、会話の始まりにも終わりにも来ます。始まりなら返事が要り、終わりなら要りません。

届いたひとこと直前のやりとり返す?返す1通/返さない理由
よろしく上司が新しい仕事を頼んだ返す承知しました。木曜の朝までにお送りします。
よろしく自分が「木曜の朝までに送ります」と伝えた返さない約束はもう済んでいます
了解自分が「送付が終わりました」と報告した返さない報告が届いたという合図です(「Aで進めてよいですか」への了解なら「Aで進めます」と返します)
お疲れさま会話の最初に上司から届いた返すお疲れさまです。(このあと続く用件を待ちます)
今日はお疲れさま退勤前、その日の仕事が終わった返すお疲れさまでした。本日はありがとうございました。

表の2行目と3行目が、迷いやすいところです。上司の「よろしく」「了解」は、受け取ったという確認です。それに確認を返しても、確認がもう1往復増えるだけです。

テティーベア

若い頃、上司の『了解』に『承知しました』を返しましたら『よろしく』が届き、また『承知しました』を返し……気づけば屋敷の暖炉の火が落ちておりました。どちらも、先に黙る作法を知らなかったのでございます。

上司から「了解」が届いたときに迷うのは、返すかどうかです。

自分から「了解しました」を送ってよいかは、また別の話です。そちらは「了解」「承知」「かしこまりました」の使い分けで扱っています。

新しい仕事の「よろしく」には、受けたことと期限を返す

表の1行目、上司から頼まれた直後の「よろしく」だけは、必ず返します。「承知しました」だけでは、いつまでにやるのかが上司に伝わりません。

◎ 迷ったらこれ=1本目

承知しました。木曜の朝までにお送りします。
承知しました。午前中は外出のため、午後から取りかかります。
承知しました。1点だけ確認させてください。宛先は課長までで合っていますか。

3本目のように、わからない点があれば、引き受けるときに一緒に聞きます。あとで聞くと、そのぶんやりとりが増えます。

お礼と「よろしく」の言い合いは、新しい話を足さずに終える

「目上の人とのやりとりは、部下が最後に返して終えるもの」と教わった人もいると思います。ただ、上司の「了解」「ありがとう」で用件が片付いているなら、そこが終わりです。

もっとも、上司自身がいつも最後にひとこと足す人なら、それがその職場の作法です。1回だけ返して合わせます。

言い合いが続く原因は、返事を足すことよりも、返事に新しい話を足すことにあります。「何かあれば何なりと」「今後ともよろしくお願いいたします」と書くと、上司はそれにまた返したくなります。

ここからLINEトーク画面を再現した会話です

資料を送ったあとの、部長とのトーク
テティーベアうさぎがカメ右
10月15日(木)
テティーベア
ありがとう
送信時刻17:52
うさぎがカメ
とんでもないです!ほかにも何かあれば、なんでもおっしゃってください。
テティーベア
ありがとう。じゃあ、来週の定例の資料もお願いできるかな。
うさぎがカメ
はい、もちろんです!ついでに議事録もまとめておきますね。お疲れさまでした、ゆっくりお休みください。
相手が既読送信時刻18:31
LINEトーク画面の再現ここまで

うさぎがカメの返事のたびに、新しい話が1つ増えています。「何かあれば」には、本当に何かが届きました。

断れないまま、議事録まで自分から足しています。最初の「ありがとう」から40分で、仕事が2つ増えました。

同じ場面を、1往復で終えるとこうなります。

ここからLINEトーク画面を再現した会話です

同じ日の、終わらせ方を変えた版
テティーベアうさぎがカメ右
10月15日(木)
テティーベア
ありがとう
送信時刻17:52
うさぎがカメ
お役に立ててよかったです。
相手が既読送信時刻17:54
LINEトーク画面の再現ここまで

新しい話を何も足していないので、部長からはもう何も来ません。来たとしても、返さなくて構いません。

どうしても締めの1通を送りたいとき

返さないのが基本ですが、上司から2回目のお礼や「よろしく」が届き、既読のまま終わるのが落ち着かない場合は、文字ではなくスタンプを1枚だけ送ります。

自分の文字の返事の直後に重ねるのではなく、上司の最後のひとことへの返事として使います。

会釈や「ありがとうございます」程度のスタンプなら、上司は返事を考えずに済みます。

ただし、ふだんの上司とのトークでスタンプを使っていない場合は送りません。初めてのスタンプが締めの1枚だと、上司が意味を考えてしまいます。

シーン別スタンプ使い分けTips

シーン◯使えば安心×送ると事故る
上司のお礼に一度応えたあと何も送らずに終えるお礼と同じ意味のスタンプを、文字のあとに追加する
上司から新しい仕事を頼まれた文字で「承知しました」と期限を返す「承知しました」のスタンプ1枚だけで返す
ふだんスタンプを使う上司との会話を締める会釈や「ありがとうございます」程度の敬語スタンプを1枚2枚続ける、キャラが大きく動くスタンプを送る
上司の「了解」で用件が片付いた送らない「確認しました」のスタンプを返す

まとめ

  • 返すかどうかは、ひとことの前のやりとりに、答えていない用件が残っているかで決めます
  • 上司からのお礼には1回だけ短く応え、2回目のお礼には返しません
  • 返事に新しい話を足さなければ、言い合いは1往復で終わります

まずは次に上司から短いひとことが届いたとき、返事を打つ前に、直前の自分の送信を1つだけ読み返してください。

上司の「ありがとう」に足した一文は、たいてい来週の自分の仕事になって返ってきます。