ホーム画面の、たぶん下から2列目あたり。緑のアイコンを、今日もう何回タップしたか覚えていない。
このアプリは、15年前まで存在しませんでした。
誕生からLINEヤフーになるまでの歩みを、3つの章に分けて時系列で整理します。
ここからLINEトーク画面を再現した会話です
第1章(2011〜2013):震災から生まれ、1億人へ
東日本大震災が引き金
LINEの誕生は 2011年3月11日の東日本大震災 と深く関係しています。
当時日本に滞在していた韓国NHN(現Naver)共同創業者のイ・ヘジン氏とそのエンジニアチームは、震災直後の光景を目の当たりにします。
電話もSMSもつながらない。家族や友人の安否が確認できない。
その不安に共感したチームは、「インターネット接続さえあれば無料で連絡が取れるアプリ」の必要性を痛感します。約2ヶ月で開発に着手しました。
2011年6月23日 リリース
震災から約3ヶ月後、LINEが正式リリース。運営は当時のNHN Japanで、機能はシンプルなメッセージのみでした。
「災害時にも使える・無料・スタンプで気軽に表現できる」というコンセプトが日本人の感覚に刺さり、爆発的に普及していきます。
ユーザー数1億人突破(2013年1月)
リリースからわずか1年7ヶ月で1億人を突破。Facebookが約4年半かけた道のりを、大幅に短縮しました。
LINE株式会社設立(2013年4月1日)
NHN Japanが組織再編し、2013年4月1日に「LINE株式会社」として正式にスタート。
親会社もNaver Corporation(韓国)とNHN Entertainment(日本)に分社化されました。
この時期、スタンプが日本のコミュニケーション文化に根付きます。公式キャラのスタンプから個人クリエイターの投稿スタンプまで、市場が一気に立ち上がりました。
ここからLINEトーク画面を再現した会話です
第2章(2014〜2020):上場と、生活インフラへの移行
LINE Pay 開始(2014年)
QR決済・銀行振込・コンビニ支払いを統合した LINE Pay が開始。日本のキャッシュレス決済の先駆け的存在になりました。
NYSE・東証同時上場(2016年7月15日)
2016年7月15日、LINE株式会社がニューヨーク証券取引所と東京証券取引所に同時上場。当時としても異例の形で、グローバル戦略の象徴とされました。
初値は公開価格を大きく上回り、時価総額は約9,000億円に到達します。
スーパーアプリ路線(2017〜2019年)
この時期、LINEは「メッセージアプリ」から「生活インフラ」へ舵を切ります。
- LINE MUSIC(音楽配信)
- LINE Pay(QR決済の全国展開)
- LINE証券(証券取引)
- LINE Bank(銀行サービス)
「LINEさえあれば何でもできる」を目指す構想が、本格的に走り出しました。
COVID-19 と LINE(2020年)
人と会えなくなった時期、LINEは公的機関の情報発信ツールとしても使われます。厚生労働省の「新型コロナ対策のための全国調査」など、行政連携が加速しました。
震災で生まれたアプリが、9年後の別の危機でも同じ役割を担った形です。
ここからLINEトーク画面を再現した会話です
第3章(2021〜2023):統合と、「LINE株式会社」の消滅
Zホールディングス発足(2021年3月1日)
2021年3月1日、LINE株式会社がヤフー株式会社と経営統合。持株会社としてZホールディングスが発足しました。
株主構造はこうなります。
- Naver Corporation(韓国)
- SoftBank Corp.(日本)
この2社が50%ずつ出資する A Holdings Corp. が、Zホールディングスを支配する形です。
日本で最も使われているメッセージアプリと、最も使われている検索サービスが1つのグループになる。当時のIT業界には、相当な衝撃をもって受け止められました。
5社合併でLINEヤフー誕生(2023年10月1日)
2023年10月1日、以下の5社が合併して LINEヤフー株式会社(LY Corporation) が誕生します。
- Zホールディングス株式会社
- ヤフー株式会社
- LINE株式会社
- Z Entertainment株式会社
- Zデータ株式会社
狙いは、グループ内で重複する事業の統廃合と、両社サービスの一体運用による競争力強化でした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 代表取締役社長CEO | 出澤剛氏 |
| グループ延べ利用者数 | 3.2億人超 |
| 連結従業員数 | 約28,000人 |
そしてこの日、「LINE株式会社」という法人は消滅しました。現在のLINEアプリは、LINEヤフー株式会社が運営しています。
ここからLINEトーク画面を再現した会話です
主要機能の年表
| 年 | できごと |
|---|---|
| 2011 | LINEリリース |
| 2011 | スタンプ機能追加 |
| 2012 | 無料通話機能 |
| 2013 | LINE GAME開始 |
| 2014 | LINE Pay開始 |
| 2015 | タイムライン機能 |
| 2016 | NYSE・東証同時上場 |
| 2018 | LINE Clova(AIアシスタント) |
| 2019 | LINE証券開始 |
| 2020 | LINE OpenChat国内展開 |
| 2021 | Yahoo!経営統合、Zホールディングス発足 |
| 2023 | LINEヤフー誕生 |
| 2024 | LINE公式アカウント料金改定 |
数字で見る成長
LINE グローバルユーザー数の推移(MAU)
* 2023年はLINEヤフー発足時のグループ延べ利用者数。2020年まではLINE単独のMAU。基準が違うため単純比較はできません。
2016年の2.2億と2020年の1.7億は、どちらもLINE単独のグローバルMAU。この区間だけ、数字が減っています。
日本国内の主要メッセンジャーアプリ利用率(2023年時点・概算)
* 日本国内スマホユーザーに占めるアクティブ利用率(複数調査の概算値)。
国内浸透率は約95%。「入れていない人を探す方が難しい」水準です。
なぜここまで広まったのか
要因は4つ、しかも全部が同時期に重なりました。
① タイミング。 震災後の「連絡手段への不安」というニーズに、完全無料・電波に強い・スタンプで気持ちが伝わるサービスが、ぴたりと合致しました。
② 日本人の感覚へのフィット。 欧米発のSNSは本名・実写が前提です。LINEはニックネームとスタンプ文化を育て、日本人の「照れ」を回避する設計になりました。
③ スタンプというイノベーション。 文字を打たなくても感情が伝わるため、返信のハードルが激減。企業コラボによる収益化にも成功しています。
④ スマホ普及期との重なり。 2011年は日本でスマホが急速に普及し始めた時期。デバイスの入れ替わりのタイミングに、そのまま乗れました。
まとめ
- 2011年6月23日、東日本大震災の約3ヶ月後に誕生。開発着手は震災から約2ヶ月後
- 2016年にNY・東京同時上場、2021年にヤフーと経営統合
- 2023年10月1日、5社合併でLINEヤフー誕生。「LINE株式会社」は消滅した
今日これだけ覚えて帰るなら、6月23日という日付です。次に緑のアイコンを開くとき、少しだけ見え方が変わります。
つながらなかった電話の代わりに作られたアプリが、いま日本人の95%のポケットに入っている。歴史としては、わりと出来すぎです。
にんにくネコ
テティーベア
色の良いレモン